我が家の近所に、1年ちょっと前にとても素敵なお店ができました。歩いてほんの10分くらいのところです。
「真心庵(しんしんあん)」
住宅地の一角で目を引く和の門構え。
庭とすっきりと調和した現代風の建物。
日本風要素を取り入れながらもモダンな独創性に溢れた空間。
近いこともあってたまに利用させていただいてましたが、デザインからインテリア、そして接遇まで本当に落ち着くいいお店だなと思っていました。
ただ、お安くはないのでそんなにしょっちゅう行けるものではないですが…。
この真心庵が、ロサンゼルスで開催された世界的なデザインアワードである“International Design Awards (IDA) 2021”の建築部門で金賞を受賞しました。
近所でいつも何気なく見ているお店が、確かに素敵なお店ではありましたが、そんな世界的に権威のあるデザインアワードの金賞を受賞するなんて、驚きです。
今回建築部門では、日本からの唯一の受賞ということです。
設計を手掛けたのも地元札幌の建築設計事務所ヒココニシアーキテクチュアの小西彦仁さん。
北海道を代表する建築士で、道内外で多数の個性的な建築物の設計を手掛け、近年国際的な開発が進んでいるニセコなどでも多くの実績を上げているようです。
この建築事務所も我が家の近くの界川にあり、代表の小西さんは広尾町出身の道産子です。
こんな身近なお店と建築事務所が世界のトップクラスの評価を受けるなんて本当にうれしい限りです。
札幌の魅力を世界に誇れるレベルまで洗練されたものに高め、そして広く発信していただけることで、地域の力と自信が強まっていくものと大いに期待したいです。
真心庵は建築物として独創性に富んでいるだけではなく、お料理もスタッフの接遇もほんとうに素晴らしいです。
四季折々の北海道の新鮮な食材を、研ぎ澄まされた和の技術を駆使して丹念に創り上げた懐石の数々は、味はもちろんのこと視覚的にも芸術性に溢れています。
落ち着いた空間の中で体験するおもてなしは、至高のひと時を提供してくれます。
なんか書いているうちに行きたくなってきましたぁ。( ̄∀ ̄)
北海道の中では札幌への一極集中ということが近年よく言われます。
しかし、道外との人口の移動を見ると、札幌といえども流出超過。
特に男女とも20代の若者の道外への流出超過は顕著であり、その大半が首都圏で、理由の大半が「就職」です。
札幌市内の大学・大学院卒業生の就職動向をみると、市内・道内就職希望者の割合に対して、実際の市内・道内就職者の割合はずっと低いものになっています。
(「第2期さっぽろ未来創生プラン(札幌市)」より)。
札幌市内の大学を卒業しても、数的にも質的にも十分な就職先が地元にないことがその背景になっているものと考えられます。
それに対して、東京を中心とする首都圏には、仕事の内容でも待遇面でも条件の良い仕事がたくさんあり、さらに若者にとって魅力的で刺激的な都会生活も彼らを引き寄せていることでしょう。
でも、必ずしもそうでしょうか。
北海道には、いまさら言うまでもなく豊かな自然や食の恵みに溢れています。
そして、それらを活用した人の創造性や営みが生み出す独特の魅力や価値に、近年、世界が注目し始めています。
また、雪まつりや冬季オリンピックを実現してきたような、冬や雪を活かそうと試行錯誤して蓄積してきた独創性やノウハウ、レガシーもあります。
以前にもこのブログで紹介したパシフィック・ミュージック・フェスティバル(PMF)など世界が羨むような文化資源もあります。
そういえば、つい最近の話題ではショパンコンクールで2位入賞の快挙を果たした反田恭平さんも札幌のご出身です。
今回の建築デザイン界での快挙も、そういった北海道・札幌の魅力やそこに愛着とこだわりを持ち続けてきた人たちの営みが成しえたものです。
こういう動きがもっともっと盛んになって、札幌・北海道の存在感が世界的に高まり、若い人たちが魅力や関心を持って関わっていける仕事や取り組みが地元に生み出されていけばいいなと心から思います。
オマハでの生活の方がずっとまともです。ニューヨークで働いていた頃は、都会の方が刺激があると思っていました。
ウォーレン・バフェット
でも、あのままニューヨークにとどまって都会特有の刺激に反応するようになっていたら、頭がおかしくなっていたかもしれません。
アメリカ経済界の伝説的な投資家・経営者であり富豪であるウォーレン・バフェットは「オマハの賢人」といわれるように、その生涯の中で単に投資やビジネスにとどまらない数多くの示唆に富んだ言葉を残しています。
そんな「賢人」は多くの投資家がしのぎを削り合うウォール街ではなく、故郷であるネブラスカ州オマハで投資家としての第一歩を踏み出し、投資人生の大半を故郷のオマハで過ごします。
そしてこのアメリカ中部の片田舎から、巨万の富を築き上げたのです。
彼にとって、ウォール街の洪水のような情報や生き馬の目を抜くような緊張感よりも、オマハの落ち着きの方がずっと価値のある有意義なものだったのでしょう。
その中でこそ、他人や時流に流されない優れた判断や冷静な行動が可能になったのでしょう。
そうして、前人未到の大事業を成し遂げることができたのです。
今回のニュースを知ったとき、ふとこの賢人の言葉を思い起こしました。
そして、この言葉を改めて噛み締めるとき、ボクは札幌の大きな可能性を確信するような気がしました。
素晴らしい受賞を心より祝福するとともに、感謝をしたいと思います。
この故郷に対する誇りと自信を深める機会をくれたことに。
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