今年4月にアメリカで開催される世界最大級の国際ロボット競技大会に札幌の高校1年生11人のグループがチャレンジ。
3月末から始まるハワイでの地区予選を皮切りに、4月20日-23日にヒューストンで開かれる本大会を目指しています。
北海道発の快挙に向けて、今まさにラストスパート!
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FIRST Robotics Competition (FRC)
彼らが挑戦する大会が、FIRST Robotics Competition (FRC)。
FIRST(For Inspiration and Recognition of Science and Technology)は、1989年に未来のロボット工学人材育成のために設立された団体で、大学就学前の18歳までの子どもたちを対象に競技会などの事業を展開しています。
世界的にボランティアや教育者などの幅広いネットワークを有し、Fortune500企業のうち200社以上がスポンサーとして名を連ねているなど、多くの有力企業も未来のロボットエンジニア育成のために支援しています。
FRCは、対象年齢が15歳-18歳と、FIRSTの競技会では最高年齢層を対象としたもので、予選通過者による本大会は“FIRST Championship”と呼ばれ、未来のロボットエンジニアたちが目指す再頂点です。
全世界35か国から、参加チーム総数約38,000チーム、約10万人近くが参加する超ビックな競技会です。
評価は単にロボット性能を競うだけでなく、「ロボット競技」、「資金調達」、「社会貢献」の3つの要素が求められます。
ロボット競技 | 毎年1月に発表されるルールに則り、約50kgのロボットを11週間で設計・作成。自律制御と遠隔操作を可能にするプログラミング力に加え、他チームと連合・協力する英語コミュニケーション能力も求められます。 |
資金調達 | FRCの参加費は$5000と高額であるうえ、追加パーツの購入費やロボット運送費、関係者の渡航費などを加えると、350万円ほどの経費が必要。これらを参加者自身で賄う必要があり、スポンサーの獲得やクラウドファンディングなど、総合的運営能力が求められます。 |
社会貢献 | ロボット制作以外に、社会奉仕活動やアウトリーチ活動など、社会貢献力のあるチーム総合力が求められます。 |
こんなことが、まだ高校生である参加者に求められるのです。
まるで大人がベンチャー企業を立ち上げるようなレベルの資質が求められるといっても過言ではないでしょう。
この高いオーダーを達成してようやく参加できる大会ですから、参加者に対してはFIRSTの奨学金プログラムが用意され、スポンサー企業等からのその後の支援なども期待できるので、トップエンジニアや起業家としての道が拓けてくるのです。
参考までに、15歳以下に対しては、FIRST LEGO League(FLL)が用意されており、4-16歳の子どもたちが参加できます。
こちらも世界100か国以上から、3万チーム以上、30万人近くが参加する巨大イベントです。
FRC参加者の多くが、幼いころからFLLで経験を積んで、FRCにチャレンジするモチベーションを育んでいるそうです。
こんな幼い頃からロボットに慣れ親しんでいるんですね。
オジサンは全くお手上げです。
チーム “Yukikaze Technology(ユキカゼ・テクノロジー)”
この超難関のFRCチャレンジしているのは、 “Yukikaze Technology(ユキカゼ・テクノロジー)“。
札幌及び周辺の高校に通う1年生11人で構成されたチームです。
全国的にもFRCを目指すようなチームは少なく、現在5,6チーム。
北海道ではYukikazeが初めて誕生したチームです。
メンバーの多くがFLLから競技に参加していて、世界の高いレベルの子どもたちの中で成長してきた若者たちです。
実際に話をしても、世界を目指す高いモチベーションに加え、落ち着いた物腰、冷静な分析力・計画力などが感じられ、大人顔負けの若者たちです。
というか、もはや「敵いません‼」って感じです。
チームリーダーの鈴木 瀬那さんは、チームを結成し、チャレンジを始めた思いを、チームのホームページの中でこう語っています。
少し長くなりますが、静かな、けれどとても熱い思いをお伝えするするために、全文ご紹介したいと思います。
私がFRCを初めて知ったのは、2019年2月のFLL全国大会です。千葉のFRCチーム、SAKURA Tempestaの方々が大会のボランティア活動と広報にいらしていました。その時は「自分とは関係ない」「北海道では無理だよな」と思っていました。しかし、それから2年以上の歳月が経った2021年11月、北海道にFRCチームが誕生しました。これはメンバー、そしてスポンサー様を始めとする沢山の方々に恵まれて達成できたことです。
時は少し遡って2020年2月、私にとって4度目のFLL全国大会でした。多くのメンバーが高校受験に入る時期だったので、チームのラストチャンスでした。本気で世界大会、総合優勝を目指して挑みました。しかし、2度目の世界大会出場は叶いませんでした。涙を流すメンバーもおり、自分自身も悔しくて仕方がなかったのを覚えています。
そこから間もなくして、世界はコロナ渦に陥りました。自粛生活を余儀なくされている中でも頭の片隅に、常にFLLの悔しさがありました。「もう1度世界の舞台に立ちたい」「もっとレベルの高いロボコンに挑戦したい」「北海道にFRCチームを作りたい」。こういった気持ちを強く抱き、FLLをやっていたメンバーを中心に声をかけ始めたのが、Yukikaze Technologyの始まりです。2020年5月の頃でした。
その後は多くの壁にぶつかりました。私にとって最大の逆風が訪れたのは、2021年夏のことです。着実に迫ってくるシーズン登録期限を考え、「やっぱり無理だ」という不安な気持ちが増してきました。「無理」という、FRCを知った時と同じ感情が戻ってきたのです。
そんな時に、必死に資料を作り、企業・団体への連絡を続けてくれたメンバーがいました。そして、私達の活動をご支援いただけるスポンサーの皆様に恵まれました。クラウドファンディングでは温かい言葉を沢山頂き、無事に目標額を達成できました。今はもう迷いはありません。直近の目的地は2022年3月のハワイ地方大会です。依然としてコロナの影響で先が見えない状況ですが、力を振り絞って活動していきます。
私達はFRCの日本での発展、そしてSTEAM教育の浸透に少しでも貢献できるよう、精一杯活動して参ります。Yukikaze Technologyの今後の挑戦を見守ってくださると幸いです。
2021年12月 雪が舞い散る北の大地で
Yukikaze Technology ホームページより
Yukikaze Technology代表 鈴木瀬那
彼らは今、彼らの情熱に打たれて協力している市内中央区のWEB関連企業の作業場に毎日放課後そして週末と休むことなく集まり、今月29日のハワイでの予選に向けて作業に励んでいます。
ボクも先日その作業場にお邪魔して、彼らの思いを直に聞かせていただくことができたのです。
未来の起業家・エンジニアを応援しよう!
前述したとおり、FRC参加には多額の費用が掛かり、ハワイでの予選に参加するだけでも250万円以上、本大会の FIRST Championship まで進むと300万円を超える費用が必要です。
これを全て高校1年生の彼らが調達しなくてはなりません。
これまでのところ、スポンサー企業を自分たちで探し、クラウドファンディングも行って、予算に参加するだけの費用調達は目途が立ったそうです。
ただ、もし本大会まで勝ち進めたら、資金がかなり厳しくなります。
今もスポンサーなど資金支援を募集しているようですので、ご賛同いただける方は、下記のサイトからご検討いただけるとうれしいです。
それから、彼らが今頭を悩ませているのが、ロボットが出来上がった後に動作等のチェックをする場所がないことです。
50kg以上の大きなロボットがかなり動き回るような広い場所が必要です。
当初は北海道大学の研究施設が使用できる予定でしたが、コロナにより学外関係者の立ち入りが禁止され、予定が狂ってしまいました。
学校の体育館や倉庫みたいなところがあればいいのですが、なかなか見つかりません。
ボク自身も、統合されて地域利用されている元学校などを当たったり、市役所に相談してみたりしましたが、今のところ見つかっていない状況です。
もし読者で適当な場所に心当たりの方がいらっしゃいましたら、コメント欄でご一報いただけるとありがたいです。
また、ホームページからも彼らに直接ご連絡いただけます。
いかがでしたか?
わずか高校1年の若者たちの挑戦。応援したくなりませんか?
ボクもここで何もしなければ「大好き札幌」の名がすたります。
できる限りのお手伝いが出来ればと思います。
札幌市にもいろいろと相談してみましたので、地域の明るい話題として盛り上げていければと思います。
秋元市長もぜひ応援してあげてくださいね!
こういう若者たちを大切にしないと、優秀な人たちはどんどん海外へ行ってしまいますよ。
お読みいただいた皆さんもどうか応援してあげてください!
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