今年に入ってからこのブログも除排雪関連のトピックが続いておりますが、今回もしつこく雪関連ですがお付き合いください。
テーマは雪捨て場の確保について、札幌市議会でも動きが出てきているようですので、レポートします。
市内中心部の雪捨て場が減少⁉
以前のボクのブログでも紹介させていただいたように、今年の大雪に対して除排雪が混乱を極めている大きな要因の一つが、市内中心部の排雪受入量が近年著しく減少したことです。
この影響で、事業者は遠くまで排雪に行くことを余儀なくされ、回転数が減少し排雪効率が著しく悪化することとなりました。
当然、排雪量単位のコストも上昇しますから、雪対策において効率面でも財政面でも大きなマイナス要因になっています。

特に、豊平川河川敷は市内最大規模の雪捨て場としてもポテンシャルを有していて、かつては最も中心的な役割を果たす雪堆積場でした。
しかし、近年河川環境保全の声が高まるなど、河川を所管する国の受入基準が次第に厳しくなり、現在ではかつての1/4程度しか容量がありません。
市内雪堆積場 全箇所数 | 豊平川河川敷 堆積場箇所数 | 豊平川河川敷 搬入量 | |
昭和60年度 | 38箇所 | 15箇所 | 5,075千㎥ |
令和2年度 | 75か所 | 16か所 | 1,411千㎥ |
確かに川に雪を大量に投入すると、ゴミや土砂などにより一時的に川は若干汚れるでしょう。
しかしながら、かつて雪の投入量が多かった時代に、著しい河川環境の悪化があったとはあまり聞きませんし、もちろんしっかりと対策を講じて環境悪化を最小限にする努力も併せて行う必要はあります。
また、雪解け水による氾濫等のリスクを指摘する声も聞かれますが、この点も札幌市の担当者に伺う機会があったのですが、投入量は著しい増水をもたらすレベルではないとのことです。
もちろんこういった悪影響等はゼロではありませんが、現実に起きている雪による「災害」と比較したときに、どちらを優先させるべきかは明らかだと思います。
豊平川河川敷への排雪量の拡大は待ったなしです。
地球温暖化の影響か、世界的に異常気象の猛威がこれまでの人間が築いてた対応をはるかに凌駕するニュースが毎年のように飛び込んできています。
今年レベルの大雪は、もしかするとこれから常態化してくる恐れもあると考えられます。
秋元市長はじめ市のご担当者は、雪対策の想定すべきレベルが一段上がってしまったという認識を持って、国とも協議を始めていただきたいと切に望みます。
札幌市議会でも動きが
本日3月3日の札幌市議会予算委員会で、豊平川河川敷への排雪量拡大の必要性が取り上げられました。
自民党会派から「雪対策に対する危機意識と豊平川河川敷への排雪量拡大の」と質された札幌市の八木雪対策室長は、「様々な要因から豊平川河川敷を利用した雪堆積場の受入量は過去と比較して減少している」と現状を説明した上で、「今冬、緊急的な対応として40万㎥の増量を認めていただいたことは排雪作業を効率的に進める上で有効」と豊平川活用の効果を認め、「河川管理者である国と協議を行って参りたい」と協議を始める考え方を示しました。
さらに、雪対策を含む建設関係事業を担う佐々木建設局長も、「雪堆積場を適切に確保することは重要」であり「河川管理のへの影響を踏まえながら、国との協議を行う」考えを示しました。
ボクの知る限り、札幌市が議会で正式に豊平川河川敷の排雪量拡大について言及したのは初めてだと思います。
これを機に、きっと具体的な動きにつながるはずだと大いに期待します。

除排雪は市民の命を守るライフライン
除排雪は札幌市にとって単なる道路維持作業の域を超えてしまったと思います。
市民の命を守る上で不可欠なライフラインであることが今年の大雪で明らかになったと思います。
これまで枠組みでは到底解決できないものであり、仕方がないでは済まされないものだと思います。
ボクも無い知恵を絞って考えた解決策なんかを何度もブログで紹介してきましたが、そのうち最も重要で効果的だと考えていた「市内中心部での雪捨て場の確保」に向けて、札幌市が認識を新たにしてくれたことはうれしい限りです。
問題意識を持って調査・勉強し、発信してきた甲斐がありました。
もし、かつてのように豊平川河川敷を雪捨て場としてもっと使えるようになれば、札幌の雪対策事業の効率は大幅に改善し、冬期間の市民生活が目に見えて改善するでしょうし、同時にコスト削減にも繋がるものと期待します。
もちろん、環境保全など必要な対策にも知恵を絞り、できる限りの対応を講ずることがセットであることは言うまでもありません。
札幌市をはじめ、国や道、政治に携わる方々、そして市民の力を総動員して、札幌に暮らす者の宿命である雪対策を進めていくことが必要です。
まだまだいろいろなことができると思いますので、ボクもこれからも考え、発信していきたいと思います!

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