札幌もいよいよ本格的な雪シーズン。
交通状況も随分悪くなってきましたね。
雪道での移動はただでさえ大変ですが、車椅子を利用している方など体に障害をお持ちの方であればなおさらのこと。
そこで、昨年(2022年)11月、車椅子ユーザーに対する支援団体の「スポットウォーキングさっぽろ」と共同して「障害を持つ方の冬道移動に関してのアンケート調査」を実施しました。
調査結果からは、冬季間格段に外出が制限される車椅子ユーザーの実態や切なる生の声が浮き彫りになりました。
貴重な声と資料だと思いましたので、去る1月6日、その調査結果と改善要望とを札幌市に対して提出しました。
今回は、そのアンケート調査の結果と「気付き」についてご紹介したいと思います。
アンケート調査の概要
調査名:障がい当事者の冬道や移動に関してのアンケート
実施主体:スポットウォーキングさっぽろ、中川賢一市政事務所
調査対象:札幌市内にお住いの障がい当事者、家族、支援者等
有効回答数:108名
調査期間:2022年11月1日 ~ 2022年11月30日
調査結果:障がい当事者の冬道や移動に関してのアンケート調査結果
通勤もままならない冬季間の実態
車椅子を利用している方も、できる限り健常者と同じように自立した生活を送りたいと思っています。
働きたいし、趣味や遊びで充実した日々を送りたいと思うのが当然のこと。
ですから、自分で外出できるかどうかはとても重要な問題ですが、冬になると外出回数が格段に減ってしまいます。
夏場は全体の75%、4人のうち3人が週5回以上外出していますが、冬場になると週5回以上外出しているのは46%、半分以下の方になってしまいます。
就労している方が平日出勤するとして、週5回の外出は自立した就労ができるか否かの大きな目安だといえます。
自立した生活を送る上で、雪が大きな障害になっていることがうかがえます。
また、冬季間は車椅子での歩道通行がとても困難になります。
歩道除雪が入っていても、路面が柔らかいと車椅子は車輪がはまってしまって動きが取れません。
上記のグラフからも、77%の方が車道歩行を余儀なくされたことがあると回答しています。
車道歩行が大変危険なのは言うまでもありません。
車椅子で自動車がすぐ脇をかすめる恐怖は耐え難いものでしょう。
わずかな「段差」でも「大きな高い壁」に
今回の調査では、自由記載の質問項目をいくつか取り入れました。
車椅子ユーザーがどのようなことに困っているのか、どんな気持ちになってしまうのか、また行政などの支援に何を望むのか、などなど多様な「生の声」を寄せていただきました。
例えば、ロードヒーティングとの境目や車道と歩道の段差など歩く上では大したことのない「段差」でも、車椅子では超えられない「大きな高い壁」になってしまいます。
段差を避けて迂回しようにも、周囲は雪山が連なりどこまで行けばよいのか気の遠くなるものとなります。
車を利用しても乗降場所の除雪状態次第では乗り降りもままならない。
先ほども触れた、車道歩行の恐怖。
一人ではどこにも行けないという厭世観、失望感。
周りの人に迷惑を掛けているのではという心配や焦り。
こういったことがもたらす憂鬱、などなど。
コメントからは、車椅子ユーザーの悲痛な声が生々しく聞こえてきます。
また、札幌市が行っている障がい者交通費助成に対しても、感謝の声とともに、改善や拡充の要望が寄せられていました。
やはり、冬季間はタクシー利用を余儀なくされ、助成の範囲をはるかに超える出費になることが多いようです。
市に要望書を提出した車椅子ユーザーの佐藤さんも、「出勤のためにタクシーを頻繁に使わざるを得ないので、給料の大半がタクシー代で消えてしまう。何のために働いているのかわからなくなる」と言っていました。
かといって、行政の財政事情にも限りがありますし、採用企業側でも経営的にそんな余裕のあるところは多くはないと思います。
そこで私案なのですが、障がいのある方の通勤に関するタクシー利用を一定の条件の下で会社の経費とできるよう税制の見直しをしてはどうかと思います。
通常、就業者の公共交通等による交通費は会社の経費となりますが、タクシーの通勤利用は税務署も容易に経費認定しないと思います。
その点を少し柔軟に見直し、北海道など積雪地域で一定の道路状況になった際のタクシー通勤が経費計上でき、税控除対象となれば、企業も柔軟な対応をし易くなるのではないでしょうか。
1月6日の札幌市への要望の際に、このような私案をボクが提言してみたところ、市として実態を調べてみてくれることになりました。
今後の何らかの改善につながっていけばと期待しています。
今回のような調査は、市でもきちんと行ったことはないそうです。
ただでさえ厳しい札幌の冬を、車椅子ユーザーがどれほど苦労しているのか、どのような気持ちで過ごしているのか、貴重な資料となったのではないかなと思います。
今後の雪国での福祉行政の改善に繋がっていけばと期待したいところです。
読者の皆様にも、是非「調査結果」に目を通していただき、彼らの現実に対する理解を深めていただければ嬉しいです。
そして、市民一人一人が障害を持つ方々との関わり方を考え、みんなで協力しながら「誰にでも優しいまち札幌」を築いていければ素敵ですよね。
調査結果はこちらのリンクから
障がい当事者の冬道や移動に関してのアンケート調査結果
コメント
札幌の除雪について。毎年豪雪だというのはわかりきっているのに、除雪車が車道を除雪をするっていう旧態依然な方法、少なくとも30年前くらいからずっと同じやり方ですが、効率的にも費用的にも無駄な気がしてなりません。もうとっくに21世紀です。
・毎年200~300憶近くいずれ溶ける雪に消費されてる。
・そもそも除雪作業員が高齢化により年々減っている。
・雪を捨てる場所がなく冬の歩道は転倒事故や生活のしづらさがある
・道路脇の雪山が出来、犯罪・事故にもつながりやすい。
10年で3000憶程度のお金がなんの投資にもならず使われてる、これくらいあれば市内の道路くらいロードヒーティングや全域に融雪溝が出来るんじゃないかと思います。
もっとかかるでしょうが、雪の苦労を考えると市民は納得しそうな気もします。
・毎年雪解け後の春や秋になると必ずある、意味あるのかないのかわからない道路を掘り起こしてる工事時に少しずつでも電気式ロードヒーティングを敷設する
・電力はソーラーパネルを電柱に設置して賄いランニングコストを軽減する。夏場の使わない時でも北海道地震の時の全域停電のような事態の時に予備電源として使える。
・道路の雪が軽減されるのでスリップ事故、渋滞等が軽減される
・危険な雪山がなくなり防犯・事故防止につながる
・道路に雪を捨てることが出来るので歩道等の雪も減る(記事にある障がい等持つ方への配慮にも)
・市民が雪かきに追われる時間が軽減される
・雪国の新しいスタイルを世界にアピールすることができる(技術提供や観光)
・毎年多くの苦情がある除雪車の騒音振動、交通障害軽減
これは自分は知識などはないので短絡的に考えてはいますが、市や国なら有識者などを集め、今と違うもっと新しい効率の良い方法を考えてもいいと思います。札幌は豪雪地帯とわかりきっているのですから。数年前雪があまり降らなかった年、道路脇にやることのないダンプが10台以上停車しているのを見ました。雪が少なくて仕事が無くても毎年委託しないと次の年の除雪が現行のやり方だとむずかしくなるのも変な話です。
ご投稿ありがとうございます。
ご提案のとおり、除排雪の方法や体制も技術の進歩に応じて進化していくべきだと私も思います。
単に毎年数百億円ものお金を除排雪作業に「消費」するだけでなく、雪に強い道路インフラ整備やICTやAIなど先端技術の活用などに「投資」していく姿勢が重要です。
人口減少・少子化などのトレンドを考えると、事業者のみならず市民だって現在のような対応は早晩難しくなるのは明らかで、一刻も早く根本的な解決策を模索しなければなりません。
そのような提案・発信もしていきたいと思いますので、これからもいろいろとご意見いただければと思います。