豪雪の札幌で考える(第1回) 札幌市の雪対策費総額は200億円以上

大好き札幌
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札幌降りましたねぇ。がっつり。
除雪や交通混雑で大変な思いをされた方、本当にお疲れさまでした。

北国の宿命とはいえ、雪との格闘にうんざりしている方も少なくないはず。
ついつい「市は何をしているんだ!」と言いたくもなりますね。
でも、市民の厳しい声にさらされる除排雪事業を、札幌市が手を抜いているわけなどないはず。

そこで、今回の大雪を機会に札幌市の雪対策事業の現状を確認してみましたので、今後の工夫の余地なども合わせて3回に渡ってご紹介したいと思います。

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年間200億円を投じている札幌市の雪対策事業

一口に雪対策といってもその事業内容は多岐に及んでいます。
道路の除雪や排雪作業。雪堆積場の確保。
除排雪機械の確保や、ロードヒーティング、流雪溝・融雪槽などの関連設備。

それらの中で、最も費用がかさむのは何だと思いますか?

それは、排雪関連の事業です。
幹線道路や通学路、交差点の排雪などに約57億円。
生活道路のパートナーシップ排雪などに約21億円。
これらで雪対策事業全体の1/3以上の約36%を占めています。
さらに、排雪先の雪堆積場の確保にも結構お金がかかっていて約23億円を投じており、これも合わせると排雪に要する経費は101億円を超え、雪対策全体の47%以上、約半分が排雪に使われています。

出典:令和3年度除排雪事業の実施計画(札幌市建設局)

除雪に関しては、車道が約32億円(対象道路延長 5,450km)。
歩道が約7億円(対象歩道延長 3,046km)。

意外と費用が掛かっているのが、 ロードヒーティングや流雪溝・融雪槽。
ロードヒーティングには17億円以上、流雪溝・融雪槽にも同様に17億円近くの費用が掛かります。
ロードヒーティングのコストはその大半が電気代。
従来は勾配4%以上の道路を対象としていたのですが、近年電力料金の高騰などもあって徐々に対象道路を減らし現在は勾配6%以上の道路だけを対象にしています。
6%の勾配といえばかなりの坂ですから、これ以上対象道路を減らすのは無理でしょう。

以上ご紹介した雪対策事業は、令和3年度当初予算額です。
自然現象である降雪は、大抵の年において関係者の期待を裏切って予算が年度途中で足りなくなり補正予算を組んで賄うことになるのですが、どうやら今年もそのようになりそうです。
既にかなり多くの雪が降っておりますので、50億円レベルの補正予算が組まれ、当初予算と合計で250億円程度の費用が投じられることになるのではないかと推察します。

市民が利用できる支援制度

福祉除雪制度
 高齢者や障害のある方のみの世帯に対して、除排雪を行う制度です。
 https://www.city.sapporo.jp/fukushijosetsu/riyo/index.html

融雪施設設置資金融資あっせん制度
 間口や宅地内の雪を処理するため、宅地内に固定式の融雪槽(機)またはロードヒーティングを設置する場合に、融資限度額300万円、無利子で融資をする制度です。
 https://www.city.sapporo.jp/kensetsu/yuki/yuusetsu.html

小型除雪機購入費の補助
 町内会又は除雪ボランティアを行う団体が小型除雪機を購入する場合、購入金額の一部を補助する制度です。
 https://www.city.sapporo.jp/kensetsu/yuki/kogata_kounyuu.html

地域除雪ボランティア活動への除雪用具の貸出
 市民(団体)が地域で行う除雪ボランティア活動に使用する除雪用具の貸出制度です。
 https://www.city.sapporo.jp/kensetsu/yuki/seido/yougu.html

札幌市の雪対策広報キャラクター「ゆきだるマン」

除排雪事業の維持のために

紹介してきたように、いといろと工夫を凝らしながら講じている除排雪体制ですが、近年は維持するのが難しくなってきています。

除排雪事業の大半を担っている建設事業者の人件費も近年上昇基調にあり、燃料などの高騰もあって、今でも毎年200億円掛かっている除排雪予算は、年々右肩上がり傾向です。

町内会と市とで経費を原則1/2ずつ分担するパートナーシップ排雪は、多くの町内会において会員の加入減少などによって財政面での負担が過大になり、維持できなくなっています。
今では多くの町内会において1/2を負担できず、市が負担割合を増やしているのが現状です。

また、雪堆積場はどんどん都心部から郊外化しているので、ダンプカーの回転率が下がり時間当たりの作業量は漸減しています。
当然、それに伴いコストはどんどん上がっていきます。
以前は都心部でも豊平川の河川敷に多くの雪捨て場があったりしましたが、河川環境の保全などを理由にそれらが次々と廃止されてしまったのも大きいですね。

さらに、除排雪作業を担う作業員の高齢化も深刻で、一説では平均年齢が60歳代半ばになっているという話も耳にします。
若い人たちの建設業界離れは著しく、このまま世代交代がままならなければ、近い将来、いくら金を積んでもできる人がいないという事態にも陥りかねません。
お金の問題なら無理をしてでも何とかやりくりできるかもしれませんが、人材がいなくなったらどうしようもありません。

そういった除排雪事業を取り巻く厳しい状況を打開するのは簡単ではないと思いますが、悲観的なことばかり書いても前向きではありませんので、次回はボクが考える解決アイデアを記してみたいと思います。
思い付きレベルだとか、稚拙だとか思われるものもあるかもしれませんがご容赦を!

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