札幌市「客引き防止条例」制定が大詰めに 札幌市議会レポート④

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1月に本ブログでもご紹介しましたが、すすきのなど札幌中心部で横行する居酒屋やカラオケ店などの悪質な客引き行為に対して札幌市では「客引き防止条例」の制定を目指して策定作業を進めています。

ススキノから客引きを撃退! 札幌市が客引き禁止条例制定へ
「客引き」皆さんのどんなイメージですか?酔っぱらった殿方たちを「怪しげなお店」に連れて行く。ノコノコ付いていった客(カモ)は高額の代金を請求される。こんな風に思うんじゃないですか。ところがどっこい、こういう類の客引...

今年4月の施行に向けて、いよいよ条例案が現在開会中の令和4年第1回札幌市議会定例会に上程され、昨日3月22日の予算委員会において審議されましたので、概要をレポートします。

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禁止される行為

この条例において規制する「客引き行為等」は以下の4つの行為です。

客引き行為通行人その他不特定の者(以下「通行人等」)の中から相手方を特定して、客となるように誘う行為
客待ち行為客引き行為をする目的で、相手となるべき者を待つ行為
勧誘行為通行人等の中から相手方を特定して、役務に従事するよう勧誘する行為
勧誘待ち行為勧誘行為をする目的で、相手となるべき者を待つ行為
(札幌市資料より)

これらが具体的にはどういう行為かというと、以下の①~③を満たす行為のこととなります。

禁止区域内の公共の場所で行われる行為道路、公園、広場、駅などで行われる行為
相手方を特定して行われる行為通行人等の中から、特定の人に近付いて行う行為や寄り添いながら行う行為など
客となるように誘う行為(客引き行為)

役務に従事する者となるように誘う行為(勧誘行為)
客となるように、お店を探しているか尋ねたり、交渉を持ち掛ける行為など
仕事に従事するよう、職を探しているか尋ねたり、交渉を持ち掛ける行為など
(札幌市資料より)

典型的な行為が、道を歩いている人に近付いて、お店を紹介したりメニューやチラシなどを見せて話し掛けたりする行為です。

一方で、単に不特定の通行人等に行う行為は対象外となります。
例えばティッシュやチラシなどを配布したり、看板を持って宣伝する行為などは規制の対象外となります。
また、「いらっしゃい、いらっしゃい!」とか「タイムセール中です!」などと不特定の人に対して呼びかける行為もOKです。

客引き行為の禁止区域

客引き行為も一定程度のものであれば法で保障されている「営業行為」になりますので、それを規制するとなると全市に適用することは難しく、適用区域を限定して規制することになります。

条例では、ススキノなど繁華街を含む中心部を「禁止区域」として、規制を適用することとしています。
具体的には、①北8条線、②南7条線、③創成川通、④西7丁目線で囲まれた区域内の公共の場所となります。

ただ、昨年12月にパブリックコメントに掛けられた条例素案においては、禁止区域の中であっても「自店舗前(自店舗の存する土地の前)から1メートル以内の範囲を規制しない」とされていました。
これは「営業の自由」を制約する規制の影響を最小限とする観点から盛り込まれたものでしたが、パブコメではこの点に関する反対意見が多数寄せられ、またススキノ地区の関係者などからも、たとえ1メートルとはいえ客引き行為を容認すると客引き側では都合よく解釈して抜け穴になってしまうというような懸念も示されました。
中には1メートル以内ならお墨付けを与える「客引き推進条例」だというような声も。

そういったことから、1月に入ってから改めてススキノや地元の町内会など地域の複数の団体連名で市に要請文が提出され、市は見直し作業に入りました。
結果、今回の条例案では南3条以南については客引き行為を全面禁止とする内容に修正され、昨日の委員会でもその点を確認する質疑が交わされました。

市議会予算委員会での質疑の様子

条例に基づく市の対応

指導員による巡回

市では条例施行に伴い、客引き行為を防止していくために、「指導員」を採用して繁華街を巡回することとしています。
指導員は警察関係機関のOBなどを北海道警察から推薦してもらって、予算上は9名雇用する方針です。
3名1組で原則毎日禁止エリア内を巡回しますが、3名体制とするのは、客引きに囲まれたり暴言を吐かれたりする危険が伴うためだということです。

罰則等

違反者には、まずは禁止行為をしてはいけないことを「指導」し、それでも従わない場合「勧告」を行い自主的な改善を促します。
それでも従わない場合は「命令」を行い、この命令に従わなかったものに対しては「罰則」を適用することになります。

罰則は大きく2つ、「①5万円以下の過料」が科され「②氏名と住所の公表」がされます。

なお、客引きは事業者から雇用や命令をされて行っている者が多いため、ケースによっては客引き本人のみならず、依頼・命令した側である事業者にも適用されます。

予算委員会での質疑が行われた3月22日は、偶然にもコロナ対策の「まん延防止等重点措置」が解除される日でした。
この条例がその呼び水となって、コロナで疲弊した札幌中心部が元気になっていく。
そして元の賑わいと活気が戻り、「安心で安全な楽しい札幌」を道内外に大いにアピールしていけるようになっていくことを期待したいですね。

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