札幌の夏を彩る奇跡の音楽祭 PMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)が今年は札幌に帰ってきます!
去年はコロナの影響で1990年の創設以来初めて中止となってしまいました。
今年も開催するには大変困難な状況が続いていますが、
組織委員会はじめ関係者が努力と工夫を重ね、
通常より規模を縮小し、オンラインも駆使して何とか開催にこぎつけました。
本当にありがとう!!!
ちょっと大袈裟な文字で書いてしまいましたが、僕はPMFの大ファン。
札幌が持っている最高の宝、人類の至宝だと思っています。
なので本当にうれしい!
今日5月30日は「PMFフレンズ会員」対象のチケット先行予約の開始日。
もちろん僕もオンラインで朝から予約申込み。
とりあえず、フェスティバルの大トリとなる8月1日の ”GALAコンサート”と、
7月25日の ”豊平館(ほうへいかん)コンサート”のチケットを無事ゲットしました。
ただ。一部のコンサートプログラムの販売が「諸事情」で発売延期となっていたため、7月23日の「オープニング・コンサート」などはまた後日チャレンジです。
ということで、今回はボクの大好きなPMFについて、少しご紹介してみたいと思います。
奇跡の音楽祭PMF 巨匠バーンスタイン人生最後の魂の偉業
私は今、再び選択に迫られています。音楽のために、そして音楽を通して人々のために何をなすのがベストであるかと。神から与えられた人生の残り時間を、最初に愛したピアノに立ち返り、ベートーヴェンのソナタ全曲を再び演奏すべきなのか。あるいは指揮者の活動に専念し、ブラームスの交響曲を演奏し続けるべきなのか。それとも作曲に集中して、音楽を、私自身の様々なる音楽を創造すべきなのか。71歳にもなれば人はそのような問題に考えを巡らせるものです。
レナード・バーンスタイン PMF1990 開会式でのスピーチから
そして、さほど迷うこともなく、このような結論を導きました。残ったエネルギーと神に与えられた時間を教育に捧げ、私が知っていることの全てを、次の世代、とりわけ若い世代と分かち合うべきであると。
(中略)
そしてこの「パシフィック・ミュージック・フェスティバル」こそが、その目的のために、私が残された人生の全霊を掛けて取り組む事業なのです。
今から約30年前の1990年6月26日、20世紀音楽界の最大の巨匠の一人、故レナード・バーンスタインは、札幌技術の森でこのように語り、PMFは誕生しました。
バーンスタインは晩年、このような考え方を強く持ち、アジアに「教育音楽祭」を創設する夢を実行に移そうとします。
しかしその構想の当初の有力候補地は中国でした。
それが、天安門事件など中国の国内情勢が怪しくなってきたことから、急遽日本に適地を求めることとなりました。
バーンスタイン自身が日本国内を回る中で北海道の風土をとても気に入り、北海道・札幌を人生最後の大事業を残す地として選んだのです。
当時バーンスタインは苫小牧市のゴルフリゾートである「ホテルニドム」の静かな環境をとても気に入り、準備のために北海道にくると、必ずここに滞在していたそうです。
今もこのホテルには、当時バーンスタインが滞在していた部屋や愛用していたピアノが残されています。
そして、日本国内の協力者や資金集めなど紆余曲折がありながらも、1990年夏、冒頭の挨拶とともに「奇跡の音楽祭」の歴史が始まりました。
その後、毎年夏になると世界中の若い音楽家が札幌に集い、これまた世界中から集まるトップクラスの音楽家たちの指導を受けて、かけがえのない経験と成長を礎として世界各地で一流の音楽家として活躍しています。
現在は、タングルウッド音楽祭(アメリカ)、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭(ドイツ)とともに「世界三大教育音楽祭」のひとつとされており、アジア随一の教育音楽祭と高い評価を受けるに至っています。
コロナの危機を乗り越えて ~ 30年後、奇跡再び!
2020年、世界を新型コロナウィルスの猛威が襲いました。
世界中で人々の生活や経済活動が制限される中で、PMFも開催中止を余儀なくされました。
海外から多くのアカデミー生や講師が訪れるイベントですから、仕方がありません。
多く人たちの音楽とこのフェスティバルへの思いは一年後に委ねられました。
しかし、まだまだ世界中から人が集まるPMFを再開するなんてとても考えられないような状況が続いています。
そんな中で、PMF組織委員会をはじめとする関係者は、どうやったらこの意義深い音楽祭を再開できるのか必死に考え抜きました。
僕も組織委員会の中核的な立場で働いている友人がいて、その苦労の様子は伺い知っています。
そして様々な試行錯誤の結果、二つの大きな方向性に絞って開催することにしました。
①教育音楽祭としての意義に立ち返る
②札幌や国内にいる人間でPMFの意義と存在感をできる限り伝える
教育音楽祭としての部分はオンラインなどを駆使して、
世界中のアカデミー生にPMFが誇る最高レベルの指導者からの指導を教授する。
フェスティバルとしての公演などについては、
海外からのアーティストや卒業生を呼ぶことはできないので、
国内の卒業生や地元の札幌交響楽団が演奏し、
リアルのコンサートと併せてオンラインでも提供する。
このような形で、本来の世界中から音楽家が集まる賑わいとは異なる姿ですが、
PMFの意義は引き継がれることとなりました。
まさに、30年後に再び起きた新たな奇跡だと心から賞賛したいと思います。
札幌が持つ「人類の至宝」を応援してください!
少しばかり感情移入しすぎたかもしれません。
でも、このような危機だからこそ、少しでも多くの人にPMFの意義を理解してほしいのです。
そして、どんな形であれ、バーンスタインの意志を引継ぎ、世界中の若い音楽家の成長を支えていかなくてはならないのです。
お読みいただいた皆様には、是非とも今年のPMFを支えていただければと願います。
何かコンサートの一つでも足を運んでいただければと思います。
音楽や芸術の未来のために。
世界の平和と安定のために。
ここ札幌の魅力を高めるためにも。
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