大坂なおみが投じた一石。オリンピック前とは絶妙のタイミング!肥大するスポーツビジネスの明日は?

時事
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テニスの大坂なおみ選手が、全仏オープンの記者会見を拒否して罰金を科せられ、大会を棄権するかもしれないというニュースが世界を騒がしています。

以前の投稿でニュースを見ないことを推奨しているボクでも、このくらいは耳に入ってきます。

彼女のこの決断に対し、世界中で賛同や批判、同情、悲しみ、怒りなど様々の意見や感想が飛び交い、大きな議論を巻き起こしています。

ネットなんかではかなり熱烈な支持や強烈な人格批判なども起こっているようですね。

まあ、格好の炎上ネタだろうな🔥🔥

正直ボクは、彼女が会見を拒否しようがしまいが、辞退しようがしまいがどっちでもいいです。

テニスに対してさして関心もないし、本人がいろんな事情があって悩んだ末に決めたんだから、他人がとやかく言う必要もないことです。
それ以上でも以下でもない。

ただ、いよいよ来月に迫った東京オリンピックがコロナでドタバタ喜劇を演じている最中、とてもいいタイミングで興味深い石を投げてくれたなと、不謹慎かもしれないが楽しんで眺めています。

今回はそのボクの不謹慎な期待を綴ってみたいと思います。

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記者会見を拒否したらどうしてダメなのか?

そもそも記者会見を拒否したくらいで165万円も罰金を科されるなんてビックリでしたよね。

このまま従わないと四大大会から追放だって!

でもよく考えたら無理もないかもしれませんね。

テニスの四大大会くらいになると巨額の金が動きます。

スポンサー料、テレビ放映料、金の亡者のブローカー(失礼、スポーツビジネス プロモーターとでも言うのかな?)などなど、いろんな利権が絡んで半端ない額の金が飛び交います。

だからこそ、賞金総額約46億円、シングルスの優勝賞金約1億9千万円なんていう、べらぼうな賞金が付けられるわけです。

これらは別にテニスがうまいから与えられる賞金ではありません。

誤解がないように補足すると、単にテニスがうまいというだけでもらえているわけじゃないということです。

世の中にはたくさんのスポーツがあって、
そのほとんどのマイナースポーツでは世界一になっても、賞金は大したことはありません。

ちなみにバトミントンがマイナースポーツとは言いませんが、
東京オリンピックで金メダルが期待される桃田健斗選手の年収は5千万円台。

もちろん、我々なんかから見ると立派に高額所得者ですが、
年間10試合以上の世界レベルの大会に優勝して勝ち得た収入です。

2019年に彼が優勝した11試合で最高優勝賞金は世界選手権の約1,300万円。
最低優勝賞金はドイツオープンの約120万円。

でもバトミントンはまだいい方。
ほとんどの競技は世界トップレベルの競技者だって専業では食っていけません。

サッカー女子ワールドカップ優勝で日本中に歓喜をもたらした「なでしこジャパン」のメンバーたちは、みんな普通の仕事をしながら競技生活を送っていて、活動資金もろくに捻出できない状況だって報道されていたことは記憶に新しいと思います。

そんな冷徹なスポーツ界の中で、テニスは特別なんですよ。

野球とか、サッカー(男子だけ)とか、ゴルフとか、バスケット(アメリカ限定)とか、こういうほんの僅かの競技の勝者だけが巨額の賞金にあずかれるのです。

なぜ?

これらの選手はあらゆるスポーツの中でも飛びぬけてすごいから?
そんなわけない。
ゴルフのメジャー優勝者より走り幅跳びの金メダリストの方が身体能力は高そうに見えませんか。

競技人口が飛びぬけて多くて、どんなスポーツよりも激しい競争を勝ち抜いたから?
そんなわけないでもない。
空手の競技人口はあらゆるスポーツの中でトップクラスです。
でも同じ格闘技で競技人口が何十分の一しかいない相撲と収入は比べ物になりません。

賞金が高いのは、競技の優劣や本質とは全く関係ありません。

お金が集まる仕組み、いわゆるビジネスとセットだから賞金が高いだけです。

テニスの四大大会の賞金には、メディアの向こうの視聴者を楽しませたり、スポンサーの会社名や商品・サービスなどを大々的・効率的にPRするための「作業料も含まれている」と解釈するのが公平な見方でしょう。

そういう意味では、記者会見も高額賞金に付随した義務であり仕事と位置付けられ、事実、錦織選手やナダル選手、ジョコビッチ選手などのトップ選手も、大坂選手の悩みや決断に一定の理解を示しながらも、記者会見は仕事の一部と解釈できる考え方を示しています。

ですから、主催者側やそれに資金を出す側からすると、会見拒否はペナルティに値すると考え、強い処置の姿勢を取るのは当然といえます。

なおみが投げた石の行方

ただ、記者会見が仕事の一部だからといって、それを拒否する大坂選手を甘えてるとかわがままとか言って、本人の置かれてる状況や葛藤についてさしたる情報も何の責任もない傍観者が批判するのは筋違いです。

一方で、常識的な配慮や品位に欠けた何でもありの最近のメディアの在り方に一石を投じた勇気ある英断として支持するような論調もあります。

ナイキなど複数の大スポンサーがいち早く彼女の「英断」に支持を示しました。
一部のメディアも、報道姿勢を見直し自らの襟を正す貴重な機会を提供してくれたというような、これまた支持の姿勢を見せ始めています。

これらが崇高な倫理観から示された支持なのか、世論の流れをキャッチしたCSR的な企業戦略なのかはわかりませんが、とにかく各方面から支持の声が上がっています。

支持も批判もそれぞれの考え方や置かれた事情から生ずるものであって、どちらが真っ当かなんて考えても全く意味がありません。

ただ、今回彼女が投じた石が、今後我々の未来にどのような「変化」を招くのか。
その「変化」への影響要素としては大変興味深いと思っています。

巨大イベントや開発プロジェクト、それらに関わるマネーの流れ。
こういった従来の成長の表舞台とされていたようなことが、これから大きく変わっていく。

多様性が価値観として重視される時代にふさわしい新たな発展の姿を時代が求め始めている。

そんな時代の流れをここ数年感じ感じていたボクにとって、今回の石はまさに絶妙のタイミングで投げられたように見えます。

巨大スポーツビジネスモデルの転換へのファンファーレ

話は少し逸れますが、開催一か月余りに迫った今なお、是非に揺れる東京オリンピック。

ボクはこの東京オリンピックを中止しても、もはや景気への悪影響は大きくはないと思います。
オリンピックの経済効果は準備段階ですでにほとんど取りつくしていますので。
むしろ景気的には好材料となる可能性も十分にあると思ってます。
別に中止論者ではないですが。

この今回の東京オリンピックについてのボクの受け止め方や、このまま中止や無観客開催になった場合の影響についてのボクの考え方などは、また機会があれば詳しく述べたいと思います。

ただ本稿でオリンピックを引き合いに出したのは、開催が危ぶまれているこの最中、大坂選手の問題提起は、まさにナイスタイミング!だと思ったからです。

東京オリンピックが賛否の中でも開催に向けて執念を見せているのは、別に国民や世界中のファンが望んでいるからではないと思います。

現に5月の朝日新聞の調査では、「中止」43%、「再延期」40%と、8割以上が今年の開催を望んでいないという結果になっています。

今や開催するしないの決定要素は、感染拡大のリスクや抑止策でもないし、国民の期待でも不安でもありません。
もう国民の大半が気付いているように「お金」です。

オリンピック級の大イベントは、「平和」や「国際協調」の美名を借りた、今や巨大な一大ビジネスです。理念は崇高かもしれませんが、実際の招致の背景や運営の実態は生臭いものです。

FIFAワールドカップはこのところ毎回のように汚職事件とセットです。

東京オリンピックも国立競技場の新設など、金を巡る不自然な運営などが次々と浮き彫りになり、当初7千億円余りだった開催経費は、直近1兆6千億円を大きく超えるまでに膨らんでいます。
もしコロナ対策も万全にして開催したら、さらに経費が膨らむことは容易に予想できます。

そこまでしても、今や経費追加と開催効果に相関関係なんて全くない状況なことくらい、まともに経済やビジネスをわかっている方ならほとんど異論がないでしょう。

そんな中でも強行せざるを得ないのは、誰も中止の損害を引き受けられないからに他なりません。

中止の判断、IOCに「全権」 東京五輪、開催都市契約に注目 日本に賠償請求? - 日本経済新聞
東京五輪・パラリンピックの開催について国内外で悲観論がやまない。そんな中、国際オリンピック委員会(IOC)と日本側が結んだ「開催都市契約」に注目が集まっている。大会中止に関する権利や手続きなどが定められており、その中身は圧倒的にIOCに有利なものだ。日本側が中止を要望した場合、IOCが多額の賠償金を請求してもおかしくな...

オリンピックのIOC、サッカーワルドカップのFIFA、ラグビーワールドカップのワールドラグビーなどの開催組織、そして、それら全てに強大な影響力を持つ国際競技連盟などなど。
その影響力は国際政治をも巻き込んで強大になり過ぎてます。

こういった異常なまでに膨らみ、歪んでしまった巨大スポーツイベントがサスティナブルであるわけがなく、近年少なからぬ人がこんなことでいいのかとメスを入れようとしてきました。

古くて錆びた大きな車輪が、惰性で回り続けて泥だらけの雪だるまのように膨れ上がり、もう誰もコントロールできない。

人間にはなかなかこの球を止められなかったけれど、期せずしてコロナが球の転がる先にいよいよ大きな崖をこしらえることになったのかもしれません。

そういう意味では、大坂選手の問題提起は、まさに絶妙のタイミングで投じられたと思います。
球が崖に向かっていくのを加速させてくれるのではないかと期待してしまいます。

エゴ剝き出しの巨大スポーツビジネスモデルが大きな転換期を迎えるファンファーレがあちこちで鳴り始めたようにボクには聞こえます。

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